随翁院の山門を通ると、参道を覆うように枝を伸ばす趣のあるしだれ桜が迎えてくれます。
樹齢は不明ですが、樹幹を見る限り古木の部類に入るのではないでしょうか。
樹高はそれほど高くなく、幾つもの棒で枝を支えられていますが、樹勢は旺盛。
地面に届かんばかりに枝垂れた枝にたくさんの花をつけていました。
桜の背後あるお墓の影響か、前方に開けたスペースにせり出すように斜めに成長しているようです。
幹は空洞化が進み、割れた樹皮から先の風景が覗けてしまう程。
少しの衝撃で崩れ落ちてしまいそうな印象を受けますが、内部で成長した不定根がこの老木を支えているようです。
随翁院は曹洞宗の寺院で1465年(寛政6年)豊田家の家臣であった坪井越後守平宗信により台豊田上郷金村台山下(現在のつくば市上郷)に創建。その後戦火により焼失したため、1513年(永正10年)に現在の地に移転されたということです。
本尊は素木の寄木造りで作られた高さ約18センチの聖観世菩薩座像。
本堂は1798年(寛政10年)、山門は1826年(文政9年)、鐘楼は1898年(明治31年)の建造で、いずれもつくば市指定文化財になっています。
寺院墓地に咲くしだれ桜。
春になると満開の桜がお参りに来た方々の心を癒してくれることでしょう。