樹齢約360年、市の天然記念物で「とちぎ名木百選」にも選ばれている紅しだれ桜です。
本堂前に堂々と立つ見事な姿で、前方に傾斜し枝々は多くの支柱に支えられています。
枝振りが見事で樹勢も良く素晴らしい桜です。
この桜は承応元年(1652年)徳川三代将軍家光公の側室のお楽の方がこの寺で病気静養中、御子四代将軍家綱の武運長久を願い京都から運んだ苗木をお手植えされたものと伝えられています。
お楽の方について
娘時代の名は「お蘭(おらん)」。
父親は栃木県の百姓でしたが江戸に出て武士になります。しかし主君の金を使い込んでしまい江戸を追われ鹿麻村で謹慎となり、禁猟とされていた鶴を撃ったため死罪となりました。
父の死後、母の再婚相手の店先にいたお蘭が春日局の目にとまり大奥に上がります。
そして故郷の鹿麻村の麦うち歌を歌うお蘭に一目惚れした家光の側室となり竹千代(四代将軍家綱)を生むこととなります。
家光に先立たれた翌年の1653年に32歳で亡くなり、上野寛永寺に葬られました。
しだれ桜はお楽の方が亡くなる前年に植えられたと考えられますね。
岩しだれ桜という名前の由来については、
・滝から流れ落ちる清水が岩にあたってはね飛ぶ姿に桜の枝ぶりが似ている
・地層状で岩盤のうえにあるから
など諸説あるようです。
見頃は3月下旬ごろ、開花期間中はライトアップも行われます。
太山寺について
創建は平安時代の天長10年(833年)、天台宗の高僧であった慈覚大師円仁によるとされています。
正式名称は「たいさんじ」で通称「おおやまじ」として知られています。
天正12年(1584年)北条氏と皆川氏の戦火により伽藍や寺宝が焼失してしまいます。
その後、家光の側室お楽の方が当寺で病気静養を行なっていた縁からお楽の方により再興され、お楽の方の法号である「寳樹院」を寺の院号とし、寳樹院太山寺となりました。
当初は天台宗の寺院でしたが、延宝3年(1675年)奈良県桜井の総本山長谷寺の直末となり真言宗 豊山派となり現在に至ります。
駐車場付近の山門から見るしだれ桜。
太山寺の岩しだれ桜へのアクセス
栃木駅からは車で15分、徒歩で40分。東北道栃木ICから15分ほど。県道269号を曲がってすぐのところに駐車場があります。
3つある駐車場のうち山門前の駐車場が桜に一番近いです。